運動方程式は力と力の対決だ
運動方程式の形はma=Fと簡単な形をしているから,m,a,Fにそれぞれあてはまる文字や数値を代入すれば運動方程式をたてられるのか?といえば,そうでもない。力が複数登場する場合などは単純にma=Fに代入するだけでは求まらない。

では,力が2つ出てくる場合にどのように考えて式をたてればよいのか,次の問題で考えてみよう。

図のように質量2.0kgの物体を20Nと60Nの一直線上に左右逆向きの力で引っぱったとしよう。はたしてどちらが勝つか?こんな簡単な質問は誰でもわかると思う。もちろん60Nが勝つ。では,物体はどちら向きに動き出すだろうか。力が勝った方向。つまり右向きに動き出す。

このとき物体に働く全体の力は60-20=40Nとなるので,物体は40Nの力で動き出すということになる。では,動き出すときの加速度はいくらであるかを求めるために,運動方程式をたててみよう。

運動方程式ma=Fは,「質量×加速度=物体に働く力」である。物体に働く力が40Nだから,これが質量×加速度と同じ値になるということである。よって運動方程式をたてると,40=20×aとなり,加速度a=20m/s2と求まる。
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