福島第1原発 放射能漏れ 避難指示「10キロ」に拡大
経済産業省原子力安全・保安院は十二日、東日本大震災の影響で自動停止した東京電力福島第一原子力発電所で外部に放射能が漏れた、と発表した。正門周辺の放射線量が通常の八倍、1号機の中央制御室で通常の約千倍。

syu6K

 菅直人首相は、同日午前、同原発から半径三キロ以内の住民に出していた避難指示を十キロ圏内に拡大した。

mapion

 同原発1号機は、原子炉格納容器内の圧力が設計値の約二倍に上昇した。さらに圧力が高くなると、格納容器が圧力に耐えられず、変形したり破損する可能性がある。

 保安院は、圧力を下げるために原子炉格納容器の蒸気を外部に放出するよう、原子力災害対策特別措置法に基づいて東電に命令した。放射性物質を含む蒸気を外部に放出すると、環境に影響が出る恐れがあり、破損で放射能を閉じ込める機能を失わないための緊急避難的措置。国内では初の事態になる。

スポンサードリンク


 東電は、同日午前九時から原子炉建屋の弁を開けて蒸気を排気筒から逃し、圧力を下げる作業を始めたが、弁を開く作業が難航している。蒸気は水を張った大きなプールに通した上で放出するため、「水を通る際に放射性物質はある程度減らせる見込み」という。

 海江田万里経済産業相は、放射性物質が放出される恐れについて「事前の評価では(放出されても)微量とみられる」と説明。保安院も、避難地域の拡大や海に向かって吹いている風向きなどから住民の安全は保たれている、としている。

<福島第1、第2原発> 東京電力が福島県で運転中の原発で、第1原発(大熊町、双葉町)は6基、第2原発(楢葉町、富岡町)は4基。1971〜87年に営業運転を始めた。いずれも冷却水を炉心の熱で沸騰させ、できた蒸気で発電用タービンを回す「沸騰水型軽水炉」で、10基の出力は計約910万キロワット。第1原発2号機では92年、高圧復水ポンプと給水ポンプが停止し、原子炉が自動停止、原子炉の水位が低下し、緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動して炉内に水が注入された。(2011年3月12日 東京新聞 夕刊)


【PR】
医学部合格者が教える大学受験勉強法+センター試験高得点マニュアルセット